『虫歯治療』
・再発を繰り返す虫歯で最悪の場合抜歯も…
「痛みが出ていないから、まだ大丈夫・・・」
「長い間、歯科検診に行っていないけど、虫歯はないはず」と、実際に歯が欠けた時、痛みがでた時、詰め物が外れてしまった時しか歯科医院には行かないと言う方は少なくありません。また、虫歯は一度治したことのある歯なら、再発しないと思われている方も多いですが治療したことのある歯も、再度虫歯になります。
そして、虫歯は痛みが出ていなくても進行しています。痛みが出た時や、詰め物が外れてしまった時には、かなり進行してしまっていることもあります。
虫歯になってしまっても、初期なら治療回数も少なく簡単に修復することが可能ですが、虫歯が進行すれば治療回数も1回では終わらず、修復できるまでに時間もかかります。
永久歯(大人の歯)は、二度と生え変わることがないとても貴重なものですので、少しでも長く綺麗に保てるようにしっかりと治療とメンテナンスをしていく必要があります。
◻️虫歯について
・なぜ虫歯になるのか?
虫歯になってしまうのには4つの条件があり、それらが組み合わさった時に虫歯になると考えられています。
4つの条件は「歯の硬さなどの質」・「時間」・「糖分」・「細菌」です。
口の中に多く存在する細菌の中で「ミュータンス菌」が主な虫歯の原因菌です。ミュータンス菌が増えるとバイオフィルムと言われるネバネバした物質を歯の表面に作り、そこに他の細菌や虫歯菌が住みつき、どんどん増殖します。これが「歯垢(プラーク)」です。
飲食する度に歯垢(プラーク)の中の虫歯菌が、それらの中の糖質を栄養にして酸を作り出し、放出します。この酸が歯のエナメル質の中に浸透し、硬い歯が溶かされ柔らかくなった部分が虫歯です。柔らかくなった部分から虫歯菌が続々と歯の内部へと入り込み、放置する時間が長ければその分虫歯が進行していきます。
◻️虫歯の原因
①歯に残った糖分をミュータンス菌が摂取
②糖分を分解してプラークを作り出す
③ミュータンス菌が増殖し酸を生成
④酸がエナメル質を溶かして虫歯に
◻️虫歯の段階とその治療法
一言で虫歯と言っても虫歯には進行度により5段階に分かれ、段階が初期であるほど治療の負担や歯への負担も少なく済み、治療を先延ばしにすれば抜歯といった最悪のケースになることも…。
◻️CO初期虫歯 白濁や斑点
・症状
白濁や白斑が見られるが、ケアをきちんと行えば健康な状態の歯に戻すことが可能です。
・治療法
正しい歯磨き方法と再石灰化による自然治癒で、白濁を消失させ健康な歯を目指します。
フッ素塗布によって歯質を強くする処置を行なうこともあります。
◻️C1エナメル質が溶けた状態
・症状
歯の表面を覆うエナメル質の部分だけが虫歯の状態です。特に痛みなどがなく、気づかないことも。
・治療法
フッ素塗布やシーラント、正しい歯磨き方法の指導などの予防的処置を行います。
虫歯の進行が見られる場合は、虫歯部分を削って白い樹脂(プラスチック)を詰めます。治療は一回で済むことが多いです。
◻️C2象牙質まで虫歯が進行した状態
・症状
虫歯が象牙質まで進んで、歯の表面が黒く見えている状態です。一見小さくても、虫歯が中で拡がっていることも…。甘いものや冷たいもので痛みを伴うことがあります。
・治療法
虫歯部分を削り、虫歯の大きさによっては白い樹脂(プラスチック)を詰めるだけでは修復できないので、銀歯(保険治療)や金歯、セラミック(自費治療)の詰め物を入れて修復します。
隣の歯と隣接する面まで虫歯を削った場合、歯と歯の間の虫歯を削った場合はインレーと呼ばれる詰め物で修復します。治療回数は1歯につき2〜3回かかります。
◻️インレーによる修復法
・レジン(プラスチック)・金属・セラミックと材質の選択が可能です。
・詰め物の作製
虫歯部分を削り、穴の形を整えて型取りを行います。採得した型からインレーを製作。
・歯に装着
製作されたインレーを接着剤で、隙間なく歯に装着して完成です。
◻️C3歯髄(神経)まで虫歯が進行した状態
・症状
虫歯が歯の歯髄(神経)やその近くまで進行しています。神経の炎症状態で、ズキズキと強い痛みを伴います。
・治療法
神経を取り除く治療(根管治療)を行い、歯の土台を立ててその上に被せ物(クラウン)を被せます。被せ物は銀歯(保険治療)や金歯、セラミック(自費治療)などがあります。
・根管治療
感染した神経を特殊な器具を使って除去し、神経が入っていた管(根管)の洗浄・消毒を行います。
一度では綺麗にならない場合が多いので、この処置に数回の通院を要することが多いです。
・消毒後に充填剤を入れる
充填剤(薬剤)で密封
消毒が終わり、根管内が綺麗になったあと、充填剤(薬剤)などを入れて密閉します。
歯の神経がなくなった歯は再感染を起こしやすいので、薬剤で細菌や空気の入る余地をなくします。
・被せ物の装着
金属やレジンなどで土台を立ち上げます。
土台を形成したあと、型取りして作製した被せ物を装着して治療は終わりです。
◻️C4虫歯が更に進行し、歯髄(神経)が死んでしまった状態
・症状
虫歯が更に進行して神経が死んだ状態になり、痛みも感じなくなります。歯の根の先に膿が溜まることもあります。周りの歯への影響が出るので抜歯することになる可能性もあります。
・治療法
C3の時と同様、神経の治療で土台を立てて被せ物を装着する場合と、抜歯になる場合があります。
抜歯後は、入れ歯・インプラント、ブリッジなどの選択肢があります。
◻️虫歯予防のために定期的なメンテナンスを!
治療後もお口の継続管理で虫歯を予防
C3やC4の状態では根管治療を行うことになりますが、神経を除去したら、もう虫歯にはならないかと言うと決してそんなことはありません。一度神経を取った歯でも、再び歯の根の中で細菌感染を起こすことはあります。また、その状態を放置すると、根の先の骨まで細菌感染が拡がり炎症を起こします。それが酷い状態だと再治療は難しく抜歯しか治療法がなくなってしまうことも…。
最悪のケースにならないためにも、虫歯の症状が出たらすぐに歯科医院で治療を行いましょう。
また、歯科医院でのお口のクリーニングや定期検診で早期発見を心がけ、虫歯にならないように「予防」するためのケアをしっかり行うことが大切です。
2024年06月08日 21:38