【応急処置】唇を切った時の注意点(ぶつけて口が切れた)
今回は「ケガや転んで唇を切った時の対応・注意点」を説明させて頂きます。
※唇を切った際に「歯が折れてしまった方」や「歯が欠けてしまった方」は、こちらを参照してください。
応急処置方法:【応急処置】歯が欠けた時の対応
■転んで唇を切ったとき
唇が裂けたようなケガをしたときにはどのような点に注意すればいいのでしょうか?
歯科医院を受診されたときに、しばしば聞かれることも併せてご紹介します。
・出血しているときはどうすればいいの?
出血しているときは、きれいなガーゼで傷口をしっかりと数分間押さえてください。
途中で止まったかなとガーゼを外すと、止まりかけていた血が再び出てくることがあるので、数分間はガーゼを外さずに押さえ続けるようにしましょう。
この血の止め方を圧迫止血法といい、たいていの出血はこれでおさまってきます。
唇が深く裂けているなど、圧迫止血法で止まりにくいときは、傷口を寄せ合うように押さえてみてください。
15分以上経過しても出血している場合は、口腔外科(こうくうげか)や歯科医院に受診しましょう。
・傷口についた砂利や草木はそのままにしていいの?
唇の傷口に砂利や草木などの異物が入り込み、傷口から見えていることがあります。
簡単に取れそうな大きめの異物は取り除いても構いませんが、基本的には傷口についた異物はそのままにしておいて大丈夫です。
麻酔なしで取り除くのはかなり痛いですし、無理に取り除こうとすると、かえって出血がひどくなるリスクがあるからです。
・何科を受診すればいいの?
唇のケガは、歯科を受診なさることをおすすめします。
歯科は、『歯』科ですから、歯だけをみているようなイメージかもしれませんが、唇や舌を含めたお口全体の専門家です。
ですから、唇のケガは歯科が専門診療科なのです。
唇のケガでは、歯や顎の骨にもダメージが及んでいることもあるので、歯科で総合的に診てもらってください。
もし近くに歯科クリニックがない場合は、耳鼻咽喉科や皮膚科、外科を探して応急的に処置をしてもらい、その後歯科クリニックを探すといいでしょう。
・溶ける糸で縫ってもらえますか?
唇に限らず、裂けたような傷は糸で縫い合わせて閉じるのが基本です。
このとき、溶ける糸で縫ってもらいたいとおっしゃる方がおられます。
普通の糸で縫うと抜糸が必要となりますから、抜糸が必要でない溶ける糸で縫ってもらいたいとお思いになるのも無理ない話です。
しかし、唇のケガはたとえ溶ける糸で縫ったとしても、抜糸が必要です。
なぜなら、溶ける糸は、溶ける糸という異物に対する身体の炎症反応を利用して溶けていくように作られているのですが、完全に溶けるまでに早いタイプで1ヶ月ほど、長いものでは数ヶ月という期間がかかるからです。
唇にこれほどの期間、糸を残していると見た目の点から良くないですし、その糸を通して唇が化膿してしまうリスクも生まれてしまいます。
こうした理由から溶ける糸で縫ったときも抜糸が必要となるので、溶ける糸で縫うメリットがありません。
したがって、唇のケガの治療は、普通の糸で縫うのです。
なお、唇のケガに限らず、お口の他の部分のケガも溶ける糸で縫うことは通常ありません。
・縫ってもらった後は毎日消毒する必要はありませんか?
糖尿病などの傷の治りに影響する病気を持っている方を含め、原則的に毎日消毒する必要はありません。
抜糸の予定日よりも早く糸が抜けることもありますが、自然に抜けたときは再縫合の必要がない場合が大半なので、あまり心配する必要はありません。
消毒の必要はありませんが、歯科医院から処方される抗菌薬などの薬は指示通りきちんと飲むようにしてください。
■荒れた唇が裂けて出血したとき
冬場に唇が乾燥したときに多いのですが、唇が荒れた経験をしたことありませんか?
唇が荒れると、お口を大きく開けて、唇が引っ張られるだけで容易に出血するようになります。
これはケガをして唇を切ったり、裂けたりしたわけではないのですが、じわりじわりと出血し続け、意外と血が出ることも珍しくありません。
そのようなときもまずは圧迫止血を行います。
きれいなガーゼで出血箇所を5分くらいしっかりと押さえてください。
ガーゼをとることで出血してくることもありますので、傷口にガーゼが張り付いているようなら、ガーゼを水で濡らしてから外すようにすると、かさぶたが剥がれにくくなります。
・唇が再び荒れて切れないようにするにはどうすればいいですか?
再び唇が裂けるのを防ぐためには、唇を荒れさせないこと、つまり乾燥させないことが大切です。
そこで、リップクリームなどを使って日常的に唇を保湿することをおすすめします。
このとき使うリップクリームは市販のリップクリームで十分です。あるいは、『プロペト』などの、白色ワセリンもオススメです。
中には、唇を舐めるくせのある方がいますが、唇を舐めるとかえって唇が荒れてしまいます。
乾燥しやすい時期でなくても、舐める癖があると唇はすぐに荒れてしまいます。
もし舐める癖があるなら、その癖は治すようにしてください。
■まとめ
今回は、唇をケガしたときの注意点などについてお話ししました。
①出血は圧迫止血で止める
②異物は無理の取り除く必要はない
③歯科で治療を受けることをおすすめする
④処方された薬はきちんと指示通りに飲む
これらの点を覚えておいていただければと思います。
2024年06月10日 06:26